PLC通信アドレス表の読み方|送信元・受信先・ラダーの対応を整理する方法
- 通信アドレス表を渡されたけれど、どこから読めばよいかわからない
- 送信元と受信先のアドレスが違い、同じ信号なのか判断できない
- 通信デバイスはわかっても、ラダー回路のどこで使用しているのかわからない
- 別のPLCから届く信号がONしない原因を調べられない
PLC間通信を理解するには、通信設定だけでなく、どのPLCが何の情報を送り、受信したPLCがその情報をどのように使用しているかを整理することが重要です。
この記事では、PLC通信アドレス表の基本的な読み方と、送信元から受信先のラダー回路まで信号を追う方法を解説します。
PLC通信アドレス表とは?


PLC通信アドレス表とは、PLC間でやり取りするデータについて、信号名や送信元・受信先のデバイスなどを整理した資料です。
例えば、搬送設備のPLCから加工設備のPLCへ「搬送完了」という情報を送る場合を考えます。
搬送設備側では搬送完了を判断する回路があり、その結果を通信データとして送信します。
加工設備側では、そのデータを受信し、加工開始条件などに使用します。
このとき、送信元と受信先で使用するデバイスが同じとは限りません。
アドレス表は、別々のPLCで使用されているデバイスを対応付けるための資料です。
通信アドレス表に記載される主な情報
一般的には、次のような項目が記載されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 信号名称 | 搬送完了、加工準備完了など |
| 送信元PLC | 情報を送るPLC |
| 送信元デバイス | 送信側で使用するデバイス |
| 受信先PLC | 情報を受け取るPLC |
| 受信先デバイス | 受信側で使用するデバイス |
| データ形式 | ビット、ワードなど |
| 備考 | 信号のON条件や使用目的など |
ただし、アドレス表の書式は設備や設計者によって異なります。
送信元と受信先のデバイスが直接記載されず、通信領域のオフセットなどで管理されている場合もあります。
送信元と受信先の違いを理解する

通信アドレス表を読むとき、最初に確認したいのが送信元と受信先です。
例えば、次のような設備を考えます。
- PLC-A:搬送設備を制御するPLC
- PLC-B:加工設備を制御するPLC
PLC-Aが搬送完了を判断し、その結果をPLC-Bへ送信するとします。
この場合、PLC-Aが送信元、PLC-Bが受信先です。
重要なのは、どちらのPLCが信号を作り、どちらのPLCがその信号を使用しているかを区別することです。

搬送設備が複数の加工設備と信号のやり取りをする場面はよくあります。
どこの設備とやり取りをするアドレスなのか識別できるようにしましょう。
同じ信号でもアドレスが異なる場合がある
説明用に、次のようなアドレス表を用意します。
| 信号名称 | 送信元 | 受信先 |
|---|---|---|
| 搬送完了 | PLC-A:B100 | PLC-B:B200 |
| 搬送異常 | PLC-A:B101 | PLC-B:B201 |
| 搬送中 | PLC-A:B102 | PLC-B:B202 |
この例では、PLC-AのB100とPLC-BのB200が「搬送完了」という同じ情報に対応しています。
したがって、PLC-B側のB200を調べるときは、PLC-A側のB100も確認する必要があります。

送信元と受信先のアドレスが同じになるとは限りません。
同じ場合は同じになるようにアドレス設定をしています。
PLC通信アドレス表を読む5つの手順

ここからは、実際にアドレス表を読むときの手順を紹介します。
STEP1:対象となる信号を特定する
最初に、調べたい信号を決めます。
例えば、加工設備が起動しない原因を調べているとします。
加工開始条件に「搬送完了」が必要なら、アドレス表から搬送完了の行を探します。
この段階では、すべての通信データを理解する必要はありません。
目的の信号を1つに絞ることがポイントです。
STEP2:送信元と受信先のPLCを確認する
次に、対象の信号がどのPLCから送信され、どのPLCで受信されるのかを確認します。
今回の例では、PLC-AからPLC-Bへ送信されます。
ここで送信方向を間違えると、調査するPLCを取り違える可能性があります。
STEP3:送信元と受信先のデバイスを確認する
続いて、対応するデバイスを確認します。
今回の例では、次の対応です。
- PLC-A:B100
- PLC-B:B200
この2つを、同じ情報を表すデバイスとして整理します。
ただし、通信方式によっては、送信デバイスから受信デバイスへ直接データが転送される構成とは限りません。
実際の割付は、PLCパラメータやネットワーク設定と照合する必要があります。

設備ごとにPLC担当が違う場合は、一緒にデバイスを確認しましょう。
STEP4:ラダー回路で信号の使用箇所を探す
デバイスがわかったら、ラダー回路を確認します。
- PLC-Aでは、B100をどの条件でONさせているのかを調べる
- PLC-Bでは、B200をどの回路で使用しているのかを調べる
ここで確認したいのは、次の2点です。
受信デバイスがONしていても、ほかの起動条件が成立していなければ設備が動かない場合があります。
そのため、通信デバイスだけでなく、使用先の回路も確認します。
STEP5:送信側から受信側までの流れを整理する

最後に、調べた内容を一連の流れとして整理します。
今回の例では、次のようになります。
ここまで整理できれば、信号がどこで止まっているのかを調べやすくなります。
通信アドレス表を読むときによくある間違い
送信元と受信先を逆に考えてしまう
同じ設備内でも、PLC間で双方向に通信している場合があります。
搬送完了はPLC-AからPLC-Bへ送信し、加工完了はPLC-BからPLC-Aへ送信するといった構成です。
信号ごとに送信方向を確認することが重要です。
通信デバイスがONすれば設備が動くと思ってしまう
受信した通信デバイスは、設備の動作条件の1つにすぎない場合があります。
ほかのインターロックや運転条件が成立していなければ、出力がONしないこともあります。
通信状態と設備の動作条件は分けて考えましょう。
ビットとワードの違いを見落とす
通信データには、ON/OFF情報を扱うビットデータと、数値などを扱うワードデータがあります。
ワードデータを使用する場合は、データ型やワード数、格納順序などの確認が必要になることがあります。
アドレスだけを見て判断しないようにしましょう。
アドレス表だけで通信設定を判断してしまう
アドレス表は信号の対応関係を整理する資料ですが、必ずしも通信設定のすべてが記載されているわけではありません。
通信方式やネットワークパラメータ、リンクデバイスの割付などは、実際の設定と照合する必要があります。

アドレス表のとおりに設定されているのか確認することも重要です。
通信信号がONしないときはどこから調べる?

例えば、PLC-Bの搬送完了信号B200がONしない場合を考えます。
送信元で搬送完了条件が成立していない可能性があります。
PLC-Aのラダー回路で、B100がONする条件を調べます。
通信データの割付、送受信状態、通信異常の有無などを確認します。
ただし、送信元がONしているからといって、通信異常が原因だと断定することはできません。
送信データへの反映処理や受信データの更新処理なども含めて調査します。
なお、実設備でのオンラインモニタや確認作業は、安全を確保し、設備の運転状態や社内手順に従って実施してください。

一般的なラダー回路の追跡方法については、以下の記事でも解説しています。

PLC間通信を理解するにはアドレス表とラダーをセットで確認する
PLC間通信は、通信アドレス表だけを見ても理解できないことがあります。
重要なのは、次の関係を整理することです。
送信元の動作条件 → 送信デバイス → 通信設定 → 受信デバイス → 受信側のラダー回路
この流れが理解できるようになると、別のPLCから届く信号についても、どこを確認すればよいのか判断しやすくなります。

通信設定や異常解析を含む実例については、次の記事も参考にしてください。

まとめ
PLC通信アドレス表を読むときは、最初からすべてのアドレスを理解しようとする必要はありません。
まずは対象の信号を1つ決め、送信元と受信先の関係を整理することから始めましょう。
そして、通信デバイスだけでなく、送信側と受信側のラダー回路を確認することが大切です。

PLCの学習を進めていて、ラダー回路の読み方や設備の動作条件の整理に不安がある方は、以下の教材や学習サポートも参考にしてください

