PLC・基礎知識
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PLCラダーのコピーから卒業するには?回路を改造・自作する練習方法

kyocha
PLCのラダーを勉強していると、こんな悩みはありませんか?
  • 既存のラダーをコピーすれば回路を作れる
  • 回路を見れば、ある程度の動作は理解できる
  • しかし、条件を変更すると、どこを直せばいいか分からない
  • 白紙からラダーを作ろうとすると、手が止まってしまう

PLCのプログラムを作成するとき、既存回路を流用すること自体は悪いことではありません。

実務でも、過去に使用した回路を参考にすることはよくあります。

ただし、コピーした回路の動作を理解していなければ、設備の仕様が変わったときに対応するのが難しくなります。

私はPLCに15年間携わり、電気設計、プログラム作成、設備立上げ、改造、トラブル対応などを経験してきました。

PLCオンラインコーチングでも、既存回路の改造から白紙での作成へ進む過程で、さまざまな課題を確認してきました。

この記事では、既存回路のコピーから一歩進み、自分で考えてラダーを作るための4ステップを紹介します。

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現役PLCエンジニアとして、設備制御やラダー回路の設計に携わっています。
「一歩ログ」では、PLCの基礎から回路設計、トラブルシューティングまで、現場で役立つ技術情報を発信しています。
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PLCラダーをコピーできても自分で作れない理由

既存回路をコピーできることと、自分で回路を設計できることには違いがあります。

まずは、つまずきやすいポイントを整理してみましょう。

回路の形を覚えるだけでは応用できない

例えば、自己保持回路を考えてみます。

スタートボタンを押すと内部リレーがONし、ボタンを離してもON状態を保持する。

この回路の形を覚えていれば、同じような自己保持回路をコピーして作成できます。

しかし、次のように条件が変わったらどうでしょうか?

  • 停止ボタンを押したら保持を解除する
  • 運転許可条件が成立している場合だけ起動する
  • 通常停止の指令を受けたら、決められたタイミングで停止する
  • 一度停止した後は、再度スタート操作を必要とする

このような変更では、接点を追加するだけでなく、何をきっかけに運転を開始し、どの条件で継続し、どの条件で終了するのかを考える必要があります。

通常の運転停止と、安全停止・非常停止は区別して設計する必要があります。

自己保持回路に停止接点を追加するだけで、安全機能が成立するわけではありません。

設備の動作とラダーの条件を結び付ける必要がある

ラダーは、設備の動作を実現するためのプログラムです。

そのため、回路を作成する前に、設備がどのような順番で動くのかを理解しておく必要があります。

例えば、シリンダーを前進させる場合でも、考えることは前進出力をONする条件だけではありません。

  • いつ前進を開始するのか?
  • 前進前に確認する条件は何か?
  • 前進完了を何で判断するのか?
  • 次の動作へ進む条件は何か?
  • 停止や異常が発生した場合はどうするのか?

これらが整理できていないと、ラダーを書き始めても途中で条件が分からなくなります。

ラダーを書く前に設備の動作を説明できることが、回路を自作するための土台になります。

ゼロからラダーを設計するときの基本的な進め方は、以下の記事で詳しく解説しています。

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コピーした回路の修正漏れが起きる理由

既存回路をコピーして改造する場合、変更箇所が1か所とは限りません。

例えば、搬送装置の動作順序を変更する場合です。

ステップを進める内部リレーだけを変更しても、出力側で参照している接点が以前のままなら、想定した動作にならない可能性があります。

また、次のような修正漏れも考えられます。

  • 動作完了条件が変更されていない
  • 関連する出力回路が以前の条件を参照している
  • 原位置条件に追加した機器が反映されていない
  • 異常監視の対象に追加機器が含まれていない

コピーした回路を修正するときは、変更した部分だけでなく、その信号を使用している関連回路まで確認することが重要です。

三菱電機のGX Worksシリーズなどでは、使用しているデバイスの参照先を調べる機能が用意されています。

機種やソフトウェアによって操作方法は異なりますが、こうした機能を活用すると確認漏れを減らせます。

PLCラダーを自作するための練習4ステップ

ラダーを自分で作れるようになるために、最初から複雑な設備を白紙で設計する必要はありません。

おすすめするのは、次の4ステップです。

  1. 既存回路の動作を自分の言葉で説明する
  2. 条件を1つ変更して回路を改造する
  3. 動作仕様を整理して白紙から作成する
  4. 元の回路と比較して動作を検証する

まずは既存回路を理解するところから始め、少しずつ自分で考える範囲を増やしていきましょう。

STEP1|既存回路の動作を自分の言葉で説明する

最初の練習は、既存のラダーを読んで動作を説明することです。

ただし、接点やコイルのON/OFFを説明するだけではありません。

例えば、次のように設備の動作として説明できるか確認してみてください。

「スタートボタンを押し、運転許可条件が成立していれば、シリンダーが前進する。前進端センサを確認すると、次の動作へ進む」

このように説明できれば、回路と設備動作の関係を整理しやすくなります。

さらに、次の点も確認しましょう。

  • スタート条件は何か
  • 動作を保持している条件は何か
  • 動作を終了する条件は何か
  • 出力をONする内部リレーはどれか
  • センサがONしなかった場合はどうなるか

回路を見ながら、動作の開始から終了まで説明できることを最初の目標にします。

設計では動作の言語化が重要!

STEP2|条件を1つ変更して回路を改造する

既存回路の動作が理解できたら、次は条件を1つ変更してみましょう。

例えば、次のような課題です。

  • スタート条件を1つ追加する
  • 動作完了条件を変更する
  • シリンダーの動作順序を変更する
  • 新しいセンサの確認条件を追加する

このとき重要なのは、ラダーを修正する前に、変更後の動作を文章で整理することです。

例えば、「スタートボタンを押すと前進する」という動作を、「スタートボタンを押し、ワーク確認センサがONしている場合だけ前進する」に変更するとします。

まず、どの条件が増えたのかを整理します。

次に、その条件をどの回路に反映する必要があるのかを考えます。

そして、修正後の回路が想定どおりに動作するか確認します。

変更内容によっては、追加した条件だけでなく、関連するステップや出力回路も確認する必要があります。

次の表を使って、修正漏れがないか確認してみましょう。

確認箇所確認すること
動作順序変更後の順番になっているか
ステップ条件開始・完了条件が正しいか
出力回路関連する内部リレーを正しく参照しているか
原位置条件追加・変更した機器が反映されているか
異常監視変更に伴う監視条件を検討したか

最初は1つずつ条件を変更し、その影響を確認する練習がおすすめです。

STEP3|動作仕様を整理して白紙から作成する

既存回路の改造に慣れてきたら、次は白紙からの作成に挑戦します。

ただし、何も考えずにラダーを書き始めるのではありません。

まず、作成したい設備の動作を文章に整理します。

今回は、モーターの起動・停止回路を例に考えてみましょう。

動作仕様は次のとおりです。

  1. 起動ボタンを押すとモーターが起動する
  2. 起動ボタンを離しても運転を継続する
  3. 停止ボタンを押すとモーターが停止する
  4. 停止後は、再び起動ボタンを押すことで運転を開始できる

この動作を実現するために、次のデバイスを使用するものとします。

デバイス役割
X0起動ボタン
X1停止ボタン
M0モーター起動指令(運転状態を保持する内部リレー)
Y0モーター起動出力

ここで考えるポイントは、起動ボタンを離しても、なぜモーターの運転を継続できるのかということです。

今回の例では、内部リレーM0を使用した自己保持回路によって運転状態を管理し、M0の状態に応じてY0を制御します。

また、停止ボタンを押したときには、自己保持が解除されるように考える必要があります。

この練習のポイントは、元のラダーを見ずに、動作仕様だけからどこまで回路を考えられるか確認することです。

分からない箇所があっても、すぐに元の回路を見るのではなく、まずは自分で考えてみましょう。

そして、どうしても分からない箇所はメモしておきます。

回路を作成したら、起動・自己保持・停止・再起動の各動作を確認し、元の回路と比較してみてください。

理解できている部分と、理解できていない部分を明確にすることも重要な練習です。

この回路は自己保持の基本を学ぶための簡略化した例です。

実設備では、過負荷保護、インターロック、異常監視、安全停止などを設備仕様に応じて設計・検証する必要があります。

STEP4|元の回路と比較して動作を検証する

白紙から回路を作成できたら、元の回路と比較してみましょう。

ただし、接点の配置が元の回路と違うからといって、必ずしも間違いとは限りません。

確認するのは、要求した動作が実現できているか、必要な条件が漏れていないかという点です。

例えば、次のような項目を確認します。

確認項目チェック内容
開始条件指定した条件で動作を開始するか
動作順序想定した順番で動作するか
完了条件センサなどで動作完了を判断できるか
出力条件不要なタイミングで出力がONしないか
停止条件指定した停止操作に対して想定どおりに動作するか
異常時条件が成立しない場合の挙動を把握しているか

PLCのシミュレーション機能を使える環境であれば、入力条件を変えながらラダーの動作を確認する方法もあります。

ただし、シミュレーションで想定どおりに動いたことと、実設備で安全に動作することは別です。

実機への適用には、機械の構造や配線、機器仕様、安全機能を含めた検証が必要になります。

具体例:シリンダー回路をコピーから自作へ発展させる

ここでは、簡単なシリンダーの前進・後退動作を使って練習方法を紹介します。

以下は説明用に作成した架空の学習課題です。実際の受講者の設備やプログラムを再現したものではありません。

安全回路、異常監視、出力保持などの詳細は省略しています。

最初は基本的な前進・後退回路を理解する

まず、次のような動作を考えます。

  1. シリンダーが後退端にいる
  2. スタートボタンを押す
  3. シリンダーが前進する
  4. 前進端センサがONする
  5. シリンダーが後退する
  6. 後退端センサがONして終了する

この例では、複動シリンダーと、前進・後退をそれぞれ指令できるダブルソレノイド式の方向切換弁を想定します。

前進と後退を同時に指令しないよう、制御上の条件を設ける必要があります。また、ダブルソレノイド式では、出力をOFFしただけで弁が元の位置に戻るとは限りません。

実際の動作は、使用する電磁弁やシリンダーの仕様によって異なります。

まずは、この動作を実現する既存回路があるとします。

最初の練習では、その回路を見ながら、各動作に関係する内部リレーや出力を確認します。

例えば、「どの条件で前進指令がONするのか」「前進端センサがONすると、どの内部リレーが変化するのか」を追っていきます。

この段階では、回路を新しく作る必要はありません。

既存回路が何をしているのか理解することに集中します。

動作条件を追加して改造する

次に、動作仕様を少し変更します。

例えば、スタートボタンを押すだけでなく、ワーク確認センサがONしている場合だけ前進できるようにします。

変更前:

「スタートボタンを押すと、必要な運転条件のもとで前進を開始する」

変更後:

「スタートボタンを押し、ワーク確認センサもONしている場合に、必要な運転条件のもとで前進を開始する」

この変更によって、前進開始条件が1つ増えました。

ただし、ここで考えるのは、ワーク確認センサの接点をどこに追加するかだけではありません。

例えば、次のような条件も整理する必要があります。

  • ワークがない場合、スタート操作をどう扱うのか
  • 動作開始後にセンサがOFFになった場合はどうするのか
  • 再度スタート操作が必要なのか
  • ワーク確認条件は、開始時だけ確認するのか、動作中も監視するのか

開始時に一度確認する条件と、動作中も継続して監視する条件では、必要な回路構成が異なります。

今回の練習では、ワーク確認センサは前進開始時の許可条件として使用し、動作開始後のセンサ変化については別途定める仕様に従うものとします。

このように条件を明確にしてから改造すると、単に接点を追加する練習ではなく、動作仕様を考える練習になります。

回路を見ずに同じ仕様を作り直す

最後は、元のラダーを見ずに、動作仕様だけを使って回路を作成してみましょう。

このとき、最初から完全に同じ回路を再現する必要はありません。

まずは、次の項目を自分で考えてみてください。

  • 動作開始を判断する条件
  • 前進中を管理する内部リレー
  • 前進完了を判断する条件
  • 後退中を管理する内部リレー
  • 動作終了を判断する条件

作成した回路をシミュレーションなどで確認し、最後に元の回路と比較します。

もし動作が違っていたら、どの条件が不足していたのか調べましょう。

例えば、前進端センサがONしても後退動作へ進まない場合は、前進完了から後退開始へ切り替える条件を確認します。

このような練習を繰り返すことで、既存回路の形を覚えるだけでなく、動作仕様から必要な条件を考える練習ができます。

最初は同じ仕様でも数をこなすことが重要。

頭だけでなく手でも覚えていきましょう。

PLCコーチングで見えた「改造から自作」への課題

ここまで紹介した練習方法は、PLCオンラインコーチングで扱ってきた課題とも関係しています。

ここでは、実際の指導記録から確認できる内容を紹介します。

既存回路の変更では修正漏れが起きやすい

ある受講者とのコーチングでは、既存の搬送回路を変更する課題を扱いました。

具体的には、AからBへ搬送する動作を、BからAへ搬送する動作に変更する課題です。

受講者は変更した回路を提出し、内容を確認しました。

全体の動作の流れは概ね評価されましたが、完了条件や出力側の接点に修正漏れが見つかりました。

この事例から分かるのは、動作順序を変更するときは、ステップの進行条件だけでなく、関連する出力条件まで確認する必要があるということです。

回路の見直しが不足していました

コピーして回路を改造するときは、変更したデバイスをどこで使用しているか検索し、関連する回路を確認する習慣が重要です

白紙から作成すると理解不足が見えやすくなる

その後、この受講者は基本回路を白紙から作成する課題に取り組みました。

提出した回路には、自分で理解できる箇所と、理解が不十分な箇所について注記がありました。

確認できた部分を概ね8割程度と評価しましたが、異常回路などには未完成の部分も残っていました。

ここで重要なのは、すべての回路を完成できたかどうかだけではありません。

白紙から作成したことで、どこまで理解できていて、どこから分からなくなるのかが明確になったことです。

既存回路をコピーしているだけでは、理解が不十分な部分に気付かないこともあります。

そのため、白紙から作成する練習は、自分の理解度を確認する方法としても役立ちます。

すんなり設計できる部分とできない部分が明確になりました

別の設備でも同じ考え方を使えるかが次の課題

さらに、この受講者は別の設備を題材にした回路作成にも取り組みました。

信号機を題材にした課題では、本人から意図に近い点灯動作ができたという報告がありました。

一方、動作コメントと実際の出力が一致していない箇所や、回路の基本構造を崩して修正している箇所が課題となりました。

このことから、一度回路を作れたとしても、別の設備で同じ考え方を使えるかは改めて確認する必要があると分かります。

PLCラダーの練習で注意したい3つのこと

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最後に、コピーから自作へ進むときに注意したいことを紹介します。

コピーしただけで理解したと判断しない

既存回路をコピーして動作したとしても、その回路を理解できているとは限りません。

理解できているか確認するには、次のような質問を自分にしてみましょう。

  • この接点を削除するとどうなるか
  • この内部リレーは何のためにあるか
  • このセンサがONしなかったらどうなるか
  • 動作順序を逆にした場合、どこを変更する必要があるか

こうした質問に答えられなければ、回路の動作をもう一度確認してみてください。

回路を変更したら関連する条件も確認する

PLCの回路を変更するときは、修正箇所だけを見て終わらないことが重要です。

特に、内部リレーやデバイス番号を変更した場合は、他の回路で同じデバイスを使用していないか確認します。

また、プログラムの改造前には、バックアップと変更内容の記録も必要です。

古いプログラムを書き込んでしまう「先祖返り」などを防ぐためにも、プログラムの管理方法を決めておきましょう。

関連記事:PLCプログラムの先祖返りを防ぐバージョン管理の方法

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シミュレーションだけで実機の安全性を判断しない

ラダーの学習では、シミュレーションを使った動作確認が役立ちます。

しかし、シミュレーションで動作したからといって、実設備で安全に動作するとは限りません。

実設備では、次のような点も考慮する必要があります。

  • センサやアクチュエータの実際の動作
  • 機械同士の干渉
  • 配線や機器の故障
  • 停止・非常停止・復帰時の動作
  • 意図しない再起動の防止

安全関連の機能は、通常のラダーの練習とは分けて、適用する規格や設備の安全要求に従って設計・検証してください。

まとめ|コピー・改造・自作の順番で練習する

PLCのラダーを自分で作れるようになるためには、回路をたくさんコピーするだけでなく、動作条件を考える練習が必要です。

今回紹介した練習方法を振り返ります。

  1. 理解する: 既存回路の動作を自分の言葉で説明する
  2. 改造する: 条件を1つ変更し、関連する回路を確認する
  3. 自作する: 動作仕様を整理して白紙から回路を作る
  4. 検証する: 元の回路と比較し、条件の漏れや動作の違いを確認する

最初から複雑な設備のプログラムを作ろうとする必要はありません。

まずは自己保持回路やシリンダーの基本動作など、簡単な回路から始めてみてください。

大切なのは、「この回路はなぜこうなっているのか」「条件が変わったらどう直すのか」を自分で考えることです。

基本回路を使って練習したい方へ

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