PLCのインターロックとは?シリンダー制御で学ぶ動作条件の考え方
- どの接点がインターロックなのか?
- なぜその条件が必要なのか?
- 実際のラダーを見ても理解できない
インターロックを理解するうえで重要なのは、接点の種類や回路の形を覚えることだけではありません。
設備がどのような状態なら動いてよいのか、逆にどのような状態では動いてはいけないのかを考えることが大切です。
例えば、シリンダーを下降させる場合、下降ボタンを押したからといって、必ず下降させてよいとは限りません。
設備が下降を許可できる位置にあることを確認する必要があります。
この記事では、シリンダーを使った設備を例に、インターロックの基本的な考え方からラダー回路での組み立て方まで解説します。

実際のPLCオンラインコーチングで受講者が疑問に感じたポイントも紹介しますので、ラダーを読むときや設計するときの参考にしてください。
PLCのインターロックとは?

インターロックの役割と基本的な考え方

インターロックとは、ある動作を行う際に、必要な条件が成立していなければ、その動作を許可しない仕組みです。
例えば、上下と左右に動くシリンダーを備えた設備を考えてみましょう。
上下シリンダーが下降したまま左右に移動すると、周囲の部品や設備と干渉する可能性があるとします。
この場合、左右に移動する前に、上下シリンダーが上昇端にいることを確認する条件が必要になります。
つまり、
という考え方です。
ここで重要なのは、動作を許可する位置や状態を明確にすることです。
「移動途中だから動作を禁止する」と考えるのではなく、「動作を許可する条件が成立していないため、動作を禁止する」と考えます。
このように設備の位置や状態を確認して、特定の動作を許可するかどうかを判断することが、インターロックの基本的な考え方です。
起動指令と動作許可条件の違い

PLCのラダーを考えるときは、「動かしたい」という指令と、「動かしてよい」という条件を分けると理解しやすくなります。
- 前進ボタンがONになったことは、シリンダーを前進させたいという指令
- しかし、前進ボタンがONになったからといって、必ず前進させてよいとは限らない
- ほかのシリンダーが干渉する位置にある場合や、必要な位置確認ができていない場合は、前進を許可しない制御が必要
基本的な考え方は次のとおりです。
動作指令がある + 必要な動作許可条件が成立している → 動作指令を成立させる
逆に、動作指令があっても許可条件が成立していなければ、その動作を許可しません。

ラダー回路を読むときも、どの接点が動作指令で、どの接点が動作許可条件なのかを区別すると、回路の意味を理解しやすくなります。
通常制御と安全関連インターロックの違い
ここで注意したいのが、通常の設備動作を制御するインターロックと、人の安全を確保するための安全機能は同じではないということです。
通常のPLCプログラムでは、設備の動作順序や機器同士の干渉を考慮して、動作許可条件を設けることがあります。
一方、非常停止や安全扉など、人の安全に関わる機能は、設備のリスクアセスメントに基づいて適切に設計する必要があります。
一般的なPLCのラダーに接点を追加するだけで、必要な安全機能を実現できるとは限りません。
この記事では、主に通常制御における動作許可条件としてのインターロックを解説します。
シリンダー制御でインターロックを考える

上下・左右に動く設備を例に考える

ここからは、架空の搬送装置を例に説明します。
この設備には、左右方向に移動するシリンダーと、上下方向に移動するシリンダーがあるとします。
上下シリンダーは、左右の決められた位置で下降し、ワークを取り扱う構造です。
ここでは、次のような動作条件を設定します。
- 左側の下降許可位置にいる場合、上下シリンダーの下降を許可する
- 右側の下降許可位置にいる場合、上下シリンダーの下降を許可する
- それ以外のすべての位置では、上下シリンダーの下降を許可しない
- 左右シリンダーを移動させるときは、上下シリンダーが上昇端にいることを確認する
なぜ、このような条件が必要なのでしょうか。
それは、設備の機構によっては、下降許可位置以外で上下シリンダーを下降させると、周囲の機器と干渉する可能性があるからです。
ここで重要なのは、下降禁止となる位置を一つずつ探すのではなく、下降を許可できる位置を明確にすることです。
例えば、左右シリンダーが移動途中であれば、下降許可位置にいないため下降を禁止します。
しかし、下降禁止となるのは移動途中だけではありません。
下降許可位置以外に停止している場合や、位置を正常に確認できない場合も、下降を許可しません。
設備の構造を確認し、どの位置であれば動作を許可できるのかを整理することが重要です。
センサー信号から動作許可条件を考える

シリンダーの位置を確認するために、前進端センサーや後退端センサーなどを使用する場合があります。
例えば、左右シリンダーの下降許可位置が2か所あるとします。
それぞれの位置がセンサーで確認できる構造であれば、次のような条件を考えられます。
下降許可 = 左側の下降許可位置を確認 OR 右側の下降許可位置を確認
どちらかの下降許可位置が確認できれば、位置に関する下降許可条件が成立します。
一方、どちらの位置も確認できなければ、下降を許可しません。
ここで注意したいのは、単にセンサーがONになっているだけで、その位置が正常であると判断できるとは限らないことです。
センサーの故障、取付位置のずれ、複数のセンサーの矛盾なども考慮する必要があります。
また、この条件は下降許可位置の判定を示したものであり、実際の設備で下降動作に必要な条件がこれだけとは限りません。

設備の構造に応じて、必要な動作許可条件を決める必要があります。
下降許可位置以外では動作させない


M204で位置を確認しています
例えば、左右シリンダーが下降許可位置以外にあるとします。
この状態で上下シリンダーの下降ボタンを押しても、下降許可条件が成立していなければ、下降指令を成立させないようにします。
このとき、左右シリンダーが移動途中なのか、途中の位置で停止しているのかは、下降許可を判断する基本条件ではありません。
下降許可位置にいるかどうかが判断の基準です。
つまり、今回の設備例では次のようになります。
このように考えると、インターロックの条件を整理しやすくなります。
実際の設備でシリンダーが動かない場合は、インターロックが成立していない可能性もあります。ラダーの出力から条件を逆に追う調査方法については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:設備が動かないときのPLCラダーの追い方|故障調査5STEP

ラダー回路でインターロックを組み立てる方法

動作指令と許可条件を分ける
インターロックをラダー回路で考えるときは、まず次の2つを整理します。
例えば、上下シリンダーを下降させる場合、次のように考えます。
動作指令は、手動ボタンや自動運転の工程条件などから発生します。
一方、下降許可条件は、設備が下降可能な位置や状態にあるかどうかで判断します。
今回の設備例では、左右シリンダーが下降許可位置にいることが、位置に関するインターロック条件です。
このように、動作させるタイミングと、動作を許可できる設備状態を分けて考えることが重要です。
PLCのラダー回路をゼロから作成する際は、インターロックだけでなく、設備の動作順序や起動・停止条件も整理する必要があります。
具体的な考え方については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:PLCは読めるのにゼロから書けない?ラダー回路を作るための考え方と手順

インターロックは手動運転・自動運転で基本的に共通
設備には、手動運転と自動運転の両方がある場合があります。
手動運転では、作業者がボタンを押してシリンダーを動かします。
自動運転では、PLCの工程条件やステップ信号などによって動作指令を出します。
このように、手動運転と自動運転では、動作指令を出す方法やタイミングが異なります。
例えば、今回の設備では、上下シリンダーの下降を許可する位置が決まっています。
手動運転だからといって、下降許可位置以外で下降させてよいわけではありません。
自動運転でも同様です。
手動運転でも自動運転でも、下降許可位置にいなければ下降させない。
これが共通インターロックの考え方です。
ここで、手動運転では動かさないが自動運転では動かす、あるいはその逆といった条件を、すべてインターロックとして考えないように注意しましょう。
その違いが運転モードや動作タイミングによるものであれば、動作指令や運転シーケンスの話として整理する必要があります。
インターロックは、設備の位置や状態から動作の可否を判断する条件として考えると理解しやすくなります。
内部リレーで動作許可条件をまとめる方法
ラダー回路では、複数の条件を内部リレーにまとめる方法もあります。
例えば、今回の設備で左右の下降許可位置を確認する場合、次のような考え方ができます。
下降許可 = 左側の下降許可位置 OR 右側の下降許可位置
この条件が成立したときに、内部リレーをONさせます。
その内部リレーに「下降許可」などのコメントを付けておけば、下降指令の回路を読むときに、条件の役割を把握しやすくなります。
また、手動運転と自動運転の両方で同じ下降許可条件を参照することで、インターロックの考え方を共通化できます。
ただし、内部リレーにまとめること自体がインターロックの必須条件ではありません。
センサーの接点を直接使用しても、必要な動作許可条件を構成できます。
大切なのは、どの条件が成立したときに動作を許可するのかが、回路上で明確になっていることです。
動作中に条件が変化したらどうする?


M205の指令がOFFしたらY22の出力もOFFする
インターロックを考えるときは、動作を開始する瞬間だけでなく、動作中の状態変化にも注意が必要です。
例えば、シリンダーが移動している途中で、動作許可条件が成立しなくなった場合を考えます。
基本的には指令を解除(OFF)してください。
また、PLCの出力をOFFにした場合でも、シリンダーが必ずその場で停止するとは限りません。
電磁弁の種類、空圧回路、負荷、機械構造などによって実際の挙動が変わります。
したがって、インターロックを設計するときは、開始条件だけでなく、動作中の条件変化と停止後の機械状態まで確認することが重要です。
インターロックを理解するときの注意点

a接点・b接点だけで判断しない
ラダー回路では、a接点やb接点を使って条件を表現します。
しかし、b接点が使われているからインターロックである、という判断はできません。
a接点でもb接点でも、動作を許可する条件を構成できます。
例えば、あるシリンダーが上昇端にいることを確認する場合と、下降端にいないことを確認する場合では、使う信号や論理が異なります。
シリンダーが移動途中の場合、どちらの端位置センサーもOFFになる可能性があるためです。
接点の形だけで判断せず、その信号が設備のどの状態を表しているのかを確認しましょう。
センサーがONでも動作可能とは限らない

センサーがONになっていても、ほかの条件が成立していなければ、動作を許可できない場合があります。
例えば、上下シリンダーが上昇端にいても、別の機器が干渉する位置にあれば、左右移動を許可できないことがあります。
設備の動作許可条件は、一つのセンサーだけで決まるとは限りません。
設備全体の動作順序と、関係する機器の状態を確認する必要があります。
設備が動かないのにアラームが表示されない場合も、動作許可条件が成立していないことがあります。そんな場面での調べ方については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:PLCで異常が出ないのに設備が動かない原因|ラダーの確認手順

自己保持とインターロックは役割が違う
PLC初心者が混同しやすいものに、自己保持回路とインターロックがあります。
例えば、下降ボタンを押して下降指令を出し、所定の条件でその指令を保持する回路があったとします。
この場合でも、下降を許可する条件と、下降指令を保持・解除する条件は分けて考える必要があります。
特に、自己保持が成立した後にインターロック条件が変化したとき、指令がどうなるのかは回路構成によって異なります。

自己保持とインターロックは、目的を区別して理解しましょう。
安全機能を通常のPLC回路だけで代用しない
インターロックという言葉は、安全関連の制御でも使用されます。
しかし、通常のPLCプログラムで動作を禁止する条件を設けたからといって、設備に必要な安全対策が完成したことにはなりません。
非常停止、安全扉、危険な動作の防止など、人の安全に関わる機能は、設備のリスクアセスメントや適用規格に基づいた設計が必要です。
必要に応じて、安全PLCや安全リレーなど、要求される安全機能に適した機器・構成を検討します。
実際のPLCコーチングで扱ったインターロックの考え方

受講者が疑問に感じたポイント
私が実施しているPLCオンラインコーチングでも、インターロックの考え方について質問を受けたことがあります。

シリンダー制御のラダー回路を確認している際に、インターロックが回路のどの部分にあるのか分からない
そこで、接点の並びだけを説明するのではなく、設備の機構とシリンダーの位置関係から整理しました。
具体的には、上下シリンダーが下降できる位置と、下降を許可しない位置を確認し、対応する条件がラダーのどこにあるのかを説明しました。
機械の位置関係から説明する
例えば、シリンダーが所定の下降許可位置にいるときだけ下降を許可する場合、その位置を確認する条件がインターロックになります。
下降許可位置以外では、下降を許可しません。
このように説明すると、ラダーの接点が単なるON・OFFの条件ではなく、設備の実際の動作と関係していることが分かります。

コーチングでは、まず手動操作による基本的な動作を整理し、その後に自動運転の条件を追加する考え方も説明しました。
ここで重要なのは、手動と自動でインターロックを別のものとして考えるのではなく、共通する動作許可条件を理解したうえで、それぞれの動作指令を整理することです。
動作条件を自分の言葉で説明できるか
このセッションでは、受講者が操作ボタンとシリンダーの位置条件の関係を自分の言葉で確認する場面がありました。
また、説明が進むなかで、動作のイメージが湧いてきたという発言もありました。
ただし、この発言だけでインターロックを完全に理解し、別の設備でも独力で設計できるようになったと判断することはできません。
大切なのは、回路の説明を聞いて納得するだけでなく、別の動作でも必要な条件を自分で考えられるかどうかです。
例えば、次のような問いを考えてみてください。
- シリンダーを前進させるために、設備はどの位置にいる必要があるか?
- 動作許可位置以外では、どのような状態でも動作を禁止できているか?
- 手動運転と自動運転で共通するインターロック条件は何か?
- 動作中に条件が成立しなくなった場合、設備をどう扱う必要があるか?
こうした問いに対して、設備の動きをイメージしながら説明することが、インターロックを理解する練習になります。
まとめ|インターロックは設備の動きから考える

PLCのインターロックは、必要な条件が成立していないときに、特定の動作を許可しないための仕組みです。
理解するうえで大切なのは、a接点やb接点の使い方だけを覚えることではありません。
設備がどのように動くのか、どの位置で動作を許可できるのか、ほかの機器と干渉しないために何を確認する必要があるのかを整理することです。
特に、次の3つを意識しましょう。
ラダー回路を見るときも、動作指令・動作許可条件・指令の保持や解除を分けて考えると、各接点の役割を理解しやすくなります。
まずは簡単なシリンダー制御を例に、設備の動作とラダーの条件を対応させるところから練習してみてください。
PLCのラダー回路を実務で理解したい方へ
PLCの基本回路を勉強していても、実際の設備に当てはめると、どのような条件が必要なのか迷うことがあります。
一歩ログでは、PLCの基本回路や実務での考え方を学ぶための教材、オンラインコーチングを提供しています。
「ラダーの接点は読めるけれど、回路全体の意味が分からない」「自分で動作条件を考えられるようになりたい」という方は、教材やコーチングの案内も参考にしてください。
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